2014年04月01日

三姉妹のカーテンが出来上がった

カフェにいる猫

三姉妹のカーテンが出来上がった。どれも匂い立つような作品だ。長女ローラの`Rosy Rola’ はスマイルの青いバラで染色した淡いブルー生地に、ローラの好きな品種のバラの花をソフィが描いた。三女キャンディの`Lovely Candy’ は、ところどころをいろんな飴で色付けた。キャンディの好きなポップな飴柄が、かわいらしく、子供たちの注目の的になった。最後まで悩んだ次女、ソフィのカーテンの名は`Fragrant Sophie’。ベイビーピンクの生地にドルフィンの工房のせっけんで白の水玉柄を染めた。せっけんのフレグランスをイメージした、白いしゃぼん玉が、若い女の子の関心を引いた。

今日も、アンジー叔母さんと、生地屋のジョージおじさんが、スカーレットのカーテン店の向かいにあるカフェでお茶をしている。
「お前さんの姪っ子たちは、今やあの店を世界的な有名店にしてくれたな」
「ああ、インターネットなんて、私の時代にはなかったからね」
アンジーのいつもの辛口コメントに、ジョージは思わず微笑む。
「それは、お前さんの娘スカーレットがサポートしてくれたおかげだよ」
「まぁね。孫にも会えたことだし、いい老後を過ごせそうだよ」
「まだまだ、現役でいいんじゃないかい?」
ジョージの言葉に、今度はアンジーが微笑んだ。
「私は生涯現役さ。あの三輪の花たちがどんな実を結ぶのか、それをちゃんと見届けてやるのが仕事だよ」
「三輪の花・・・四輪じゃないのかい?」
「スカーレットの種子は別の国で根付こうとしている。それはそれであっぱれだが、私はやっぱりこの国と、このカフェと、あの店が大好きでね。Scarlet’s curtainの花は三輪さ。違うかい?」
ジョージは楽しそうに笑う。
「・・・そういう割り切りのよさは昔から変わってないな。やっぱりアンジーはアンジーのままでうれしいよ」



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Posted by 弘せりえ at 10:47│Comments(0)短編
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